-語りつがれ,よみつがれてきたもの-
昔,丹後の國に,「浦島」とよばれる者がおったが,その子に浦島たろうと申して,
二十四,五さいの男がいた.まいにち海の魚をとって,父母を養っていたが,
ある日,特にすることもないので,釣りをしようと出かけていった.
どこかで聞いたことがある話だとは思いませんか.
この話は,「浦島たろう」といって,えど時代にまとめられた『御とぎ草子』
という短編物語集に載っています.
『御とぎ草子』には,ほかにもたくさんの話がおさめられています.今,おとぎ
話としてつたえられている「うらしまたろう」も「鉢かづき」も「ものぐさたろう」
も,みなこの中に登場しています.
ところで,みなさんの知っている「うらしまたろう」と,『御とぎ草子』の
「浦島たろう」とでは,話の中身に少し違いがあります.例えば,
うらしまたろうは子供たちにいじめられていたかめを助けますが,浦島たろうは
自分が釣り上げたかめを海に放してやります.
また,「浦島たろう」にもりゅう宮城のようすはえがかれていますが,そこには,
乙ひめは出てきませんし,たいやひらめの舞い踊りもありません.かわりに.
美しくひろがった四季おりおりの景色がたろうをたのしませてくれます.
「うらしまたろう」といえば,「玉手箱」が思い浮かびますが,「浦島たろう」
にもやはり玉手箱が出てきます.どちらの話でも,箱を開けたたろうはおじいさん
になってしまいます.しかし,「浦島たろう」のほうは,そのあとに,こんな一文
をつづけています.
さて浦島は鶴になりて,虛空に飛び上りける.
「浦島たろう」が,どのようにして今につたわる「うらしまたろう」に
かわったのかは,はっきりはわかりません.おそらく,人から人へと
つたえられていく中で,少しずつその形をかえてきたのでしょう.
昔の人びとが作り,何百年もの長いさいげつ,多くの人びとに語りつがれ,
よみつがれてきた作品,それが古典です.そこにえがき出されている人びとの
生活のようすやものの考え方,さらに言葉遣いやかな遣いには,現代と大きく
異なるものがあります.しかし,人間の喜びや悲しみ,美しいものへのあこがれ,
豊かな想像力,そして懸命に生きる人間の姿などは,いつの時代もかわることなく,
時をこえてわたしたちの心を打つのです.
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